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読書エッセイ
進撃の巨人 第3巻

「進撃の巨人」のアルミンから学ぶプレゼンテーション

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漫画から学べることはたくさんあります。

人によっては「漫画よりも小説や文庫を読んだ方が頭が良くなる」とか「漫画ばっかり読んでるとダメになる」と考える場合があるかもしれませんが、個人的には漫画から学べることはかなりたくさんあると思っています。

たとえば「進撃の巨人」の1シーンからは、プレゼンテーションの大切さやポイントを学ぶことができます。

【注:以下の内容は「進撃の巨人」コミックス第3巻についての内容を含みます。】

コミックス第3巻では、巨人となったエレンが人類の脅威なのか救世主なのかの判断をめぐっての場面が出てきます。

巨人のうなじから出現したエレンを見て周囲の兵士たち(駐屯兵団)は状況が理解できず、エレンに対して「人か?巨人か?」と問うものの、未知への恐怖が先行している状況。ついに兵士たちはエレンをミカサやアルミンともども大砲で吹き飛ばそうとします。

瞬間、巨人となったエレンが盾となり砲撃を免れたものの、体に負担がかかっているエレンが兵士たちからの攻撃を防ぎ続けられる保証もない状態。

この絶体絶命の窮地から打開を試みる作戦が、アルミンによる兵士たちへの説得(プレゼンテーション)でした。

アルミンはエレンのこれまでの状況を冷静に分析・説明することで、「巨人化できるエレンは人類の脅威ではない」ことを訴えかけました。

アルミンの適格な説明に、一部の兵士たちからは「エレンは味方かもしれない」という声も挙がります。

しかしアルミンの懸命な説明も虚しく、兵団のリーダー格はすでに考えること自体を放棄しており、アルミンの論理的な説明を理解することができません。リーダー格は攻撃命令を下そうとします。

命令が下るまさに直前、かけつけた上長のピクシス司令の命令により、すんでのところで事態は沈静化しました。

アルミンのプレゼンが救った危機

アルミン渾身のプレゼンテーションは、兵団のリーダー格にこそ理解されなかったものの、さらに上の位にあるピクシス司令に届いたことで、エレン・ミカサを含む3人の危機は回避されました。

アルミンのプレゼンテーションがなければ、3人のうち誰かが、あるいは全員が犠牲になっていたかもしれません。

困難な事態を切り抜ける、課題を解決するというプレゼンテーションの重要性を、この場面から読み取ることができます。

アドリブの大切さ

兵士たちへの説明を始める直前、アルミンは頭の中でこう考えている場面があります。

「まだ考えがまとまっていない…けどやってやる!喋りながらでも考えろ!」

アルミン

そう。アルミンはまだ話す内容が十分固まっていなかったにも関わらず話し始めていたのです。

自分が発した言葉に対して、それが間違いか間違っていないかを考えながら、機器を脱するためのロジックを頭の中で考えつつ話を続けています。

アルミンはこの時、いわゆるアドリブで話をしているわけです。

プレゼンテーションをする場合、通常であれば話す内容をきちんと決めた上で臨むことが多いと思います。一方で、こうしたアドリブで話せる力はプレゼンでもとても重要になります。

プレゼンをするということは当然その先に聞き手がいるわけですが、聞き手は常に黙って話を聞いてくれるわけではありません。時には話者に対して質問や逆に提案をしてくることもあります。

そうした予期せぬリアクションがあっても柔軟に対応できるアドリブ力がなければ、プレゼン自体のクオリティや信頼性が揺らぐことになります。

逆に言えばアドリブでも適格な対応を取ることで、プレゼンのレベルもグッと上がり高評価に繋がると言えます。

ちなみに今回の場面は、私が実際に中学生を対象にしたプレゼンテーション講習でケーススタディとして取り上げたものです。

漫画にはこうしたプレゼンの要諦を学べる場面が多々あると思います。読んでいる漫画の中でプレゼンのような場面を見つけたら、プレゼンを聞く側の立場に立って考えるようにしてみると面白いと思います。

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